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経審事項審査申請

1. 経営事項審査とは?

公共工事の発注機関(国、都道府県、市町村等)が定期的に行う公共工事入札参加資格審査及び格付けは、客観的事項の審査結果と主観的事項の審査結果を総合して行われます。

このうち、客観的事項の審査は、建設業法に基づき、統一的に行うこととされています。この客観的事項の審査が、建設業法第4章の2に定める経営事項審査です。この審査は「経営状況」と「経営規模、技術的能力その他の客観的事項」について数値により評価するものです。なお、「経営状況の分析」については、国土交通大臣が登録した経営状況分析機関が行っています。弊社グループ会社でも、この「経営状況分析」窓口を設けております。

公共工事の受注を希望する建設業者様は、必ず経審を受けたうえで総合評定値通知書を入手しなければなりません。


2. 経営事項審査等審査実施日程一覧(滋賀県)

日程の公表は、滋賀県広報や各土木事務所・支所や各市町の契約・発注部局等で「おしらせ」のポスターが掲示されますので、あわせてご確認ください。


決算月 申請月 掲載予定 公告
10月 3月 平成29年
2月下旬
平成29年
お知らせ(その1)
11月・12月 4月
個人事業主 5月
1月・2月 7月 平成29年
6月初旬

平成29年
お知らせ(その2)

3月・4月 8月
5月・6月
7月・8月
9月
10月下旬
11月
12月
平成29年
9月下旬
平成29年
お知らせ(その3)


3. メニュー

Y点アップ対策
X1点アップ
W点アップ対策
Z点アップ対策


4. 申請手続の流れ

1. 決算日


2. 決算確定(申告完了)


3. 決算変更届の作成(決算終了後4カ月以内に決算変更届を提出)


4. 経営状況分析(Y)の申請及び分析結果通知書受取(国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関)


5.「経営規模等評価(XZW)の申請」と「総合評定値(P)の請求」


経営事項審査結果の公表はこちらから


5. 経審対策フローチャート

経審対策フローチャート


Y点対策

はじめに

経営状況分析とは、企業の財務状況を一定の基準により点数化し評価したものになります。
経営事項審査に先立ち国土交通省に登録された「登録経営状況分析機関(㈱大辻経営窓口)」に申請する必要があります。
上記の分析機関より算出された経営状況点数を基に、Y点という形で点数が算出されます。
このY点に0.2をかけたものが、P点となり、この点数は中小建設業からスーパーゼネコンまで同じ評価方法で行われます。
経審改正により、財務諸表の数値が、ほとんど意味がなくなったといわれますが、全くそのようなことはありません。下記の通りY点の幅は、0点から1,595点までであり、P点に換算すると0点から319点までの幅になり、経営状況の数値に対して319点もの点数が割り振られている以上決算を事前に予測し、Y点対策を決算確定前に行うことが重要となります。

Y=経営状況分析の結果に係る数値[最高点:1,595点 最低点:0点]
Y=167.3×A+583(Aは経営状況点数)


経営状況分析指標の算式と意味

Y点の審査内容には次の4要素8指標があります。

要素①≪負債抵抗力≫ 指標 目優先順位
及び占有率
指標①純支払利息比率 売上高に対する純粋な支払利息の割合を見る比率 低い程良い 優先順位①
29.9%
指標②負債回転期間 負債総額が月商の何か月分に相当するかを見る比率 低い程良い 優先順位④
11.4%
要素②≪収益性・効率性≫ 指標 目優先順位
及び占有率
指標③総資本売上総利益率 総資本に対する売上総利益の割合、つまり投下した総資本に対する売上総利益の状況を示す比率 高い程良い 優先順位②
21.4%
指標③売上高経常利益率 売上高に対する経常利益の割合、つまり企業の経常的経営活動による収益力を示す比率 高い程良い 優先順位⑥
5.7%
要素③≪財務健全性≫ 指標 目優先順位
及び占有率
指標⑤自己資本対固定資産比率 設備投資などの固定資産がどの程度自己資本で調達されているかを見る比率 高い程良い 優先順位⑤
6.8%
指標⑥自己資本比率 総資本に対して自己資本の占める割合、つまり資本蓄積の度合いを示す比率 高い程良い 優先順位③
14.6%
要素④≪絶対的力量≫ 指標 目優先順位
及び占有率
指標⑦営業キャッシュフロー 企業の営業活動により生じたキャッシュの増減を見る比率 高い程良い 優先順位⑦
5.7%
指標⑧利益剰余金 企業の営業活動により蓄積された利益のストックを見る比率 高い程良い 優先順位⑧
4.4%


新経審Y点アップ対策

新経審でのY点アップ対策のポイントは『負債科目を減らす!!』の一言に尽きます。

①「工事未払金」「買掛金」「未払金」「未払費用」などの支払は可能な限り先延ばしにする

どうしても未払金が発生してしまう場合には、可能な限り支払いを先延ばしにし、手持ちの現金を多く持ち、キャッシュフローをよくすることがポイントとなります。
旧経審では、「支払手形」「工事未払金」は良い負債として評価されていましたが、現在は負債科目自体がマイナス評価とされるため「支払手形」「買掛金」「工事未払金」も少ない方が点数がアップします。
しかし、「工事未払金」については、「負債回転期間(上記指標②)」を良くするためには少ない方が良いが、「営業キャッシュフロー(上記指標⑦)」を良くするためには多い方がよいという二面性を有している為シミュレーションを行い適切な数値を求める必要があります。

②未成工事受入金(工事前渡金、中間前金)を減らす

未成工事受入金が多いほど、点数が下がります。いずれは収益に振り替えることができる前渡金といえども、「負債」科目のため、マイナス評価となります。
未成工事受入金が無いと資金繰りが苦しくなりますが、新経審にて点数アップを望むのであれば決算間際での未成工事受入金は可能な限り抑え、決算期を越えてからの入金に変更する。
資金繰りは苦しくないが、「未成工事受入金」が残ってしまう場合は、原資を短期借入金の返済にあてる。
根本的な対策としては『工事完成基準』から『工事進行基準』への変更をとることが効果的ですが適用要件の確認が必要です。

③社長借入金を減らす

経審においては、社長勘定が「短期(長期)借入金」となると点数が下がり、社長勘定が未払金となると点数に大きな影響はありませんので、社長勘定に未払金が含まれていれば、借入金とは明確に区分して仕訳を行う必要があります。
根本的な対策としては、不要な資産を社長へ売却し、借入金と相殺し、借入金残高を減らす。

④「現預金」の残高は、点数とは無関係

眠っている現金は、借入金の返済などに回す。定期預金を解約して借入金の返済に回すのもよい。

⑤資産は「お金」で残す

資産の中で保有していても点数が下がらないのは、「現金預金」「有価証券」「短期貸付金等その他流動資産」「繰延資産」のみです。それ以外の資産は、保有すればするほど点数が下がっていきます。

⑥「受取手形」「完成工事未収入金(売掛金)」は早く回収する

これらの科目は、少ない方が点数が上がる。「未成工事支出金」や「材料貯蔵品」も同様。
完成工事未収入金の多い3月決算法人は不利となることが多い。
決算期までに手形ではなく、現金で回収し、工事未払金や借入金の支払に充て、負債純資産合計を圧縮する
受取手形を裏書譲渡(回し手形)し、工事未払金等の支払いに充て、負債純資産合計を圧縮する

⑦固定資産は「取得」ではなく「賃借」する

固定資産を減らし、出来る限り賃貸で済ませる。旧経審からの度重なる改正も、いまだ改善されていない。
小規模な企業ほど点数が高くなる。賃借やリースに切り替えることでY点の減点を抑える。

⑧建設機械は「リース資産」として計上しない

建設機械などのリース契約については「リース資産」として計上すると固定資産・負債が増加する為点数が下がる。「リース資産」については、中小企業は賃貸借処理をする。

⑨固定資産台帳の見直し

固定資産台帳には、既に会社に存在しない固定資産が未だに計上されていることがあります。
減価償却の見直しを行い、償却済みの固定資産は削除する。

⑩株主配当や役員賞与金の支払を抑える

資本蓄積を行い、内部留保を手厚くする

⑪節税目的の保険加入は点数が下がる

保険積立金の計上は、固定資産を増加させ、また、保険料は営業利益も減る為、経審では点数が下がる。

⑫不動産収入については「兼業売上高」へ計上する

定款の事業目的に「不動産賃貸業」を追加する。→「兼業売上高」へ計上。
不動産賃貸収入を「営業外収益」へ計上し、不動産賃貸により発生する諸費用(減価償却費・固定資産税・保険料・管理費用など)を販管費へ計上している会社が多い。このような処理をすると売上高は上がらないのに営業利益だけが減り、経審の点数が下がるので要注意。もし、「営業外収益」へ計上するならば、費用についても「営業外費用」に計上する。

⑬「支払利息」を少なくする

支払利息が営業利益を上回っている会社は、倒産の危機に瀕していると分析される。
手形割引料を「支払利息」に含めない。「受取手形割引高」は少なければ少ないほど点数が上がる。
Y点分析は会社の体力測定であり、「支払利息」は少ない方が点数が上がる。返済が難しい時でも金利の引き下げなど、金融機関との交渉を検討する。
社長借入についても同様、決算までに返済したり、利息計上をしない。
逆に、「受取利息」は多い方が点数が上がる。
貸付金利息についても「雑収入」ではなく「受取利息」へ振り替える。

⑭災害損失は「特別損失」へ計上する

現場災害や、地震、台風、火事、水害等の偶発事故による損失は「完成工事原価」へ計上するのではなく「特別損失」へ計上する。営業利益も経常利益も上がる為、点数が上がる。

⑮退職金は「販管費」ではなく、「特別損失」に計上する

役員・従業員の退職金は臨時的に発生する費用であるため、「特別損失」へ計上する。

⑯決算期は「5月」「6月」が有利

Y点をアップさせるという観点からは、仕掛工事が少ない月、また売上債権が少ない月がベスト。

⑰保証協会に支払う保証金は「支払利息」へ計上しない

保証金は「支払利息」を使わず、支払手数料等の他の勘定科目で処理する

⑱増資する

自己資本を増加させることで経審の点数が上がる
社長からの借入金がある場合、これを資本金へ振り替えるのも可能。

チェックポイント

A.「流動資産」については、少ない方が点数が上がる(営業キャッシュフローのみ)

B.「固定資産」については、少ない方が点数が上がる

C.「流動負債」は「負債回転期間」と「営業キャッシュフロー」が相反する二面性を有しているので必ずシミュレーションをする

ただし、「短期借入金」については、営業キャッシュフローとは無関係な為、少ない方が点数が上がる

D.「固定負債」については、少ない方が点数が上がる

E.売上総利益、経常利益確保→費用は可能な限り販管費より営業外、営業外より特別損失へ

※上記の①~⑱については、対策したからと言って、評点が単純に上がったり下がったりするものではありません。
 当事務所では、実際に面前でシミュレーション対策をし、実際に点数がどのように変化するのかを見て頂きます。


X点対策

はじめに(X1点)

完成工事高評点X1は、経営事項審査(経審)のうち、経営規模を表す指標の1つで、建設業許可の28業種ごとに、 1,000万円未満から1,000億円以上までの42区分に分けて 評点が決定されます。
評点算出は、業種別年間平均完成工事高を「完成工事高評点X1 算出テーブル」に当てはめて算出します。

完成工事高の平均年数は2年または3年のどちらかを選択できます。 但し、後述の「技術力評点Z」算出に使用する元請完成工事高評点算出時の平均年数と同じ年数になります。

なお、完成工事高評点X1は建設投資の減少により平均点が低下しているため、平成23年4月改正で平均点が700点になるよう 評点テーブルを補正しています。

平成24年7月改正では、外国子会社の完成工事高も評価の対象になります。


X1点のポイント

ポイント1

受注の際には元請工事を増やす

ポイント2

積算能力の向上

ポイント3

完成工事高の平均値で有利な指標を選択する

X1点アップ対策

①完成工事高を可能な限り確保する

完成工事高がそのままストレートに点数へ反映します
Z点(元請完成工事高)を増やし、より有利な点数へ

②正確な積算を目指し、人材育成を

正確な積算により赤字工事の受注を食い止める
「総資本売上総利益率」「売上高経常利益率」に影響が出る

③受注予定工事に照準を合わせ、経営事項審査へ

営業戦略上、先を見越し受注計画を立て、今後発注される工事に対して経営事項審査に臨む
つまり、点数を一番高くしたい業種を決め、2年平均、3年平均を比較し選択する
建設工事入札参加者業種別格付基準点数を常に意識し、必ず事前にシミュレーションを行い客観点数の必要数値を導き出す必要がある

平成26・27年度建設工事入札参加者業種別(格付別)業者数および格付基準点数
(滋賀県建設工事入札参加資格審査申請マニュアル参考)


平成26年4月1日現在

【格付6業種】 格付 業者数 基準点
土木一式工事 一号 34 975
二号 137 815
三号 229 745
四号 299 640
五号 353 -
合計 1,052  
建築一式工事 一号 30 875
二号 29 820
三号 55 715
四号 66 625
五号 81 -
合計 261  
ほ装工事 一号 36 960
二号 41 860
三号 180 -
合計 257  
電気設備工事 一号 36 815
二号 30 750
三号 101 -
合計 167  
給排水冷暖房 一号 39 830
二号 37 760
三号 162 -
合計 238  
給排水冷暖房 一号 14 765
二号 30 685
三号 84 -
合計 128  
格付6業種計2,096


はじめに(X2点)

経営規模評点X2は、経営事項審査(経審)のうち、経営規模を表す指標の1つで、自己資本額点数と平均利益額点数で算出します。

経営規模評点×2=(自己資本額点数+平均利益額点数)/2(小数点以下切り捨て)

自己資本額点数と平均利益額点数は、それぞれ算出テーブルに当てはめて算出します。

平均利益額は、利払前税引前償却前利益の2期平均値(基準決算と前期決算の平均値)です。
利払前税引前償却前利益は、下記計算式で算出します。

利払前税引前償却前利益=営業利益+減価償却実施額

自己資本額は2年平均するかしないかを選択できます。
平均利益額は、利払前税引前償却前利益の2期平均値(基準決算と前期決算の平均値)になります。

平成24年7月改正では、親会社及び外国子会社合算の利益額及び自己資本額が評価の対象になります。

X2点アップ対策

①自己資本額の増額

増資が効果的な対策ですが・・・ 資金が必要
役員借入金があれば、資本に組入が可能か確認
増資後に激変緩和措置で当期を選択すれば効果あり
※必ずしも、増資=点数アップではありません。会社様の状況により変化しますのでシミュレーションンが必要

②平均利益額の増額について

平均値となるので、自己資本額のようにすぐに効果はありません。
経常利益、当期利益ではなく、営業利益と減価償却の合計となるので、重機機械の所有はマイナスにはなりません。
平均利益額は営業利益額を増額する以外に、方法はありませんので、即効性のある対策は難しい。


はじめに

その他の審査項目(社会性等)評点Wは、経営事項審査(経審)のうち、社会的貢献度などの評価項目です。 労働福祉の状況点数、建設業の営業継続点数、 防災協定締結の有無点数、法令遵守状況点数、 建設業経理点数、研究開発状況点数、建設機械保有状況点数、国際標準化機構登録点数を合計したものに ×10×190/200を乗じたものを評点Wとします。


W点のポイント

ポイント1

ルールの遵守

  • 「労働福祉の状況」「法令順守」での取りこぼしをしない
ポイント2

自助努力の範囲

  • 防災協定の締結
  • 建設業経理士の合格者を増やす
    (特に1級は「自主監査:2点」の加点が可能になります)
ポイント3

X1のウェイト減の点数補完の面が強い

  • 特に業歴の長い老舗企業に有利に設計されています

W点アップ対策

①建退共への加入

建退共制度は、建設業の事業主が機構と退職金共済契約を結んで共済契約者となり、建設現場で働く労働者を被共済者として、その労働者に機構が交付する共済手帳に労働者が働いた日数に応じ共済証紙を貼り、その労働者が建設業界の中で働くことをやめたときに、機構が直接労働者に退職金を支払うというものです。
建退共制度は、建設現場で働く人たちのために、中小企業退職金共済法という法律に基づき創設され、機構がその運営にあたっています。
これによって、建設業で働く人たちの福祉の増進と雇用の安定を図り、ひいては、建設業の振興と発展に役立てることをねらいとするものです。
退職金は、国で定められた基準により計算されて確実に支払われますので、民間の退職金共済より安全かつ確実な制度です。
制度に関する手続きは、各都道府県の建設業協会にある都道府県支部で行い、しかも、簡単にできます。

経審において、建退共に加入し履行している場合にはP点で21.5点加点評価されます。また、入札の際には、建退共制度加入のチェックが行われ、受注後の請負契約締結時には建退共の掛金収納書の提出を求められることとなっております。
つまり、建退共制度は、建設業で働く人たちの福祉の増進と雇用安定を図るだけでなく、公共工事を受注する上では、P点加点を加味すると加入は必須条件ともいえるかもしれません。

②退職一時金制度

経審において退職一時金制度を導入すると、P点で21.5点加点評価されます。
退職一時金制度の評価は、中退共や特退共の加入証明もしくは、退職年金支給規定等のある就業規則などの写しで加点となります。
ここでのポイントは「退職年金支給規定等のある就業規則」です。本来、従業員が10人以上の事業所では就業規則や規定を労働基準監督署に届け出る必要があります。しかし、10人未満の事業所では届け出る必要がありません。就業規則を作り、従業員代表もしくは従業員全員が意見書に自署、押印の上保存するだけで加点となります。
※上記は滋賀県の場合ですので、詳細は都道府県にお問い合わせください。

③法定外労働災害補償制度加入

法定外労災補償制度とは、建設業及びこれに関連して行う建設業以外の事業に従事する労働者が業務・通勤災害により死亡したり、重度の身体障害を残した場合、または傷病の状態にある場合に国の労災保険の給付に上乗せして共済金を給付する制度です。
法定外労災補償制度に加入すると、経審で21.5点加点評価されます。

法定外労災補償の取扱いについては、(公財)建設業福祉共済団や一般の損害保険会社などがあります。

(公財)建設業福祉共済団では、法定外労災補償制度への加入契約として「年間完成工事高契約」を行っています「年間完成工事高契約」とは、直前1年間の完成工事高に基づいて保険料を算出し、申込書類に記載の申込日と保険料の支払日のいずれか遅い日の翌日から1年間、保険契約者が施工する工事現場で働く労働者が、労災保険で業務災害または通勤災害と認定され、死亡、重度の障害または傷病を被った場合に保険金を支払う契約です。

国土交通大臣または都道府県知事の建設業許可を取得している建設業者であればどなたでもご加入できます。

④雇用保険への加入

経審の申請にあって、雇用保険に加入していない建設会社は、評点がおよそマイナス43点となります。

雇用保険の適用条件は
①31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。
②1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
となっております。コンプライアンスの観点からも加入は必須条件となっています。

⑤社会保険への加入

経審の申請にあって、社会保険に加入していない建設会社は、評点がマイナス43点となります。

法人の場合、従業員がおらず役員だけの会社でも、強制適用となります。個人事業で一定の業種(※)の場合には、従業員を常時5人以上使用する場合には強制適用になります。従業員が常時5人未満の事業所は任意で加入することが出来ます。社会保険についても雇用保険と共に加入は必須条件となっています。

※一定の業種とは、製造業、土木建築業、物品販売業、医療保険業等。

 農林水産業、飲食店などのサービス業は含まれません。

⑥建設業の営業継続の状況の点数

「営業年数」は、経審の点数において非常に大きな影響を持っている項目と言われており、W点の中で最も重要な項目といっても過言ではありません。
営業年数5年以下の会社と35年以上の会社では、85.5点もの差が付きます。
同じ規模の競合他社の点数が高いと感じることがありますが、その差は営業年数にあるという事がよくあります。
新しくグループ会社を設立する際には、営業年数の多い会社を買収するという会社もよく見受けられます。
このように重要な項目であるにもかかわらず、この「営業年数」をきちんと申請していない建設会社がかなり多いのです。

また、法人成り時にある条件を満たせば個人事業時代の営業年数や完成工事高を引き継ぐことも可能です。

①個人時代の建設業を許可申請と同時に廃業すること
②個人事業主であった者が50%以上出資した法人であること
③営業年度が連続していること
④個人事業主であったものが、法人設立時点で代表権を有する役員であること
⑤変更届の提出を怠っていなかったこと

⑦防災協定の締結

建設会社が滋賀県と防災協定を結ぶと、経審の点数が21.5点アップします。

防災協定はどうやったら結ぶことができるのか、意外と知られていないようです。

国や地方公共団体と直接防災協定を締結されておられるところは少ないようですが、加入団体が国や地方公共団体と防災協定を締結されている場合は、防災活動証明書を加入団体に発行してもらいます。

滋賀県の場合、滋賀県建設業協会が代表的です。

⑧建設機械の保有状況

平成23年4月の経審改正により、建設機械の保有状況が経審の評点項目の1つになりました。
建設機械を1台保有すると、P点で1.425点加点評価されます。
加点項目となっている建設機械の一覧は、下記を参照下さい。

【対象となる建設機械】
ショベル系掘削機:ショベル、バックホウ、ドラグライン、クラムシェル、クレーン又はパイルドライバーのアタッチメントを有するも
ブルドーザー:自重が3トン以上のもの
トラクターショベル:バケット容量が0.4立方メートル以上のもの

【特定自主検査】
基準決算内に検査をうけたものが対象。
従業員の中に一級建設機械施工技士の資格を有する方がいらっしゃれば、検査は自社で行うことが出来ます。

⑨ISOの認証取得

ISOとは、国際標準化機構の略称のことで、国際規格のことを示しています。ISOは1947年に組織され、国際的に通用する規格や標準類を制定しています。

ISO9001・14001を認証取得すると、P点で各7点ずつ加点評価されます。
ISOについては、取得・更新費用が高い、処理や書類が煩雑など過剰な誤解もありますが、現在それらの問題は解消されつつあります。
ISOは経審上の加点や、対外的な規格ではありますが、製品及びサービスの品質というビジネスの重要部分の能力評価と(9001)、環境という次世代社会に対する保証(14001)という本来の目的を忘れることなく認証取得に努めるべきかもしれません。


Z点対策

はじめに

技術力評点Zは、経営事項審査(経審)のうち、技術力を審査する評点です。 技術者の資格と元請完工高によって、評点が決まります。

技術力評点Z=許可を受けた建設業の種類別の技術職員の数の点数×0.8+許可を受けた建設業に係る建設工事種類別年間平均元請け完成工事高の点数×0.2(*)小数点以下は切り捨て

技術職員数評点は、資格区分に基づいて、技術職員数値を算出後、技術職員数評点算出テーブルに当てはめて算出します。 技術職員数値は、一級監理受講者・一級技術者・基幹技能者・二級技術者・その他技術者の人数で決定します。

技術職員数値=G1×6+G2×5+G3×3+G4×2+G5×1

G1 : 一級監理技術者であって監理技術者講習受講技術者の人数
G2 : 一級監理技術者であって監理技術者講習受講者以外の技術者の人数
G3 : 基幹技能者であって一級技術者以外の者の人数(3点)
G4 : 二級技術者の人数(2点)
G5 : その他技術者の人数(1点)


平成20年4月改正以降、一人の職員について技術職員として申請できる建設業種類は二つまでとなっていますので、ご注意下さい。 また、職員数2年平均は平成20年4月経審改正で廃止されましたので、常に基準決算時の技術職員数で評価されます。

元請完成工事高の平均年数は2年または3年のどちらかになりますが、 完成工事高評点X1算出時に選択した平均年数と同じ年数になります。 なお、元請完成工事高評点は建設投資の減少により平均点が低下しているため、平成23年4月改正で平均点が700点になるよう 評点テーブルを補正しています。

元請完成工事高評点は、元請完成工事高評点算出テーブルに当てはめて算出します。


Z点のポイント

ポイント1

従業員の人数を増やすのは本末転倒         

ポイント2

技術職員の資格アップ

ポイント3

技術職員の重点配置

ポイント4

「元請完工高」の増加は大事ですが、粗利益率改善が主眼であり、Y点での対策と考えるべき

Z点アップ対策

①Z点のみを見た単純増員は無意味。戦略的増員は計画的に

Z点をアップさせる為、単純に資格者の増員をすることは、Y点にも悪影響(粗利益の減少)を及ぼします。
将来の受注見込や、退職に伴う資格者の補充等については、基準日の6か月前の雇用が必要となりましたので 経営事項審査基準日の6か月前までに雇用し、社会保険・雇用保険の手続きを済ませる必要があります。
給与の金額にも注意をし、1日当たりの給与が各都道府県の最低賃金を下回っている資格者は常勤性が認められない可能性も有ります。

②現在いる従業員の方で資格の充実を

上記①にも記載した通り、従業員の数を増やすのは本末転倒です。現在いる従業員の方で資格の充実をはかりましょう。

2級→1級への昇格は、+3点
1級の方で監理技術者講習会を受講し、監理技術者資格者証を保有している場合には、更に+1点となります。
基幹技能者の選択はないか?確認しましょう。
実務経験として登録できないか?確認しましょう。
(資格が無くても、10年以上現場に従事していれば実務経験でその他技術者として登録できることも)

③技術職員の配置は数万パターン

技術職員として申請する建設業の種類(土木等)は2種類となっていますので、主力の種類に技術職員を重点配置することが効果的です。
当事務所では、経営事項審査シミュレーション時に数万パターンの中からお客様に合った最適の配置を導き出し、より高い点数となるようサポートさせて頂きます。